2024年4月17日
医療法人社団悠輝会コーラルクリニック
統括部長補佐 石垣 聡一朗

パパ管理職の育業報告

昨年6月から今年の1月にかけて、育児休業(以下、「育業」とする)を取得した。
息子が産まれたのは一昨年の10月だった。妻と息子は2ヶ月ほど妻の実家に帰省し、その後3人での暮らしを始める予定だった。それに併せて育業を半年間取得して、子育てに積極的に携わる予定にしていたが、一昨年12月6日に交通事故に遭い、4か月間入院することになってしまった。
右足に後遺障害を負ってしまったこともあり、6月迄は休業することになった。6月後半になり、主治医の先生の許可が出たので、復職するか育業を取得するかを検討することにした。事務所全体を統括する立場ということ、既に半年間休業で不在になっていることを踏まえればすぐにでも復職すべきかと思っていた。しかし、半年間不在でも事務所運営はできていたこと、男性育休も以前に比べれば一般的になってきたこと、そして何より1歳前の子供と過ごす機会は二度と訪れないことを考慮して、育業を取得することにした。
幸か不幸か、事故の為に業務の棚卸をしていたので、引継ぎはスムーズに行うことができた。そして、既に私の不在を前提とした形で組織も回っていたこともあり、遠慮なく育業を半年間追加で取得することとした。もちろん、不明点が出た時には電話連絡で回答することや遠隔でのサポートを行う旨は伝えた上で、事務長や他の職員の方々の協力もあり、結果的には半年を超える育業を取得することができた。

実際に育児をスタートすると、不慣れなことばかりで悪戦苦闘した。正直、仕事の方が楽だと思うことも多々あった。それでも、息子の笑顔に救われ、不十分ながら何とか育児をすることができた。妻とも分担しながらでも、はじめての育児に四苦八苦していた。これが一人だったら、精神的に追い詰まってしまい、とても無理だったのではないかと思う。
日中は私が主に担当し、夜間は妻が主に担当した。また、日中に妻が息子を児童館や公園に連れて行く間に、家事をすることで役割分担を図ることができた。離乳食を作ったり、おむつ替えをしたり、風呂で日々の成長を感じたりすることは、まとまった育業をしなければ、中々経験することができない貴重な機会だった。育業中の息抜きに家族旅行をしたが、いつまでも家族の思い出として残っていくと思う。息子が成長していくかけがえのない時間を一緒に過ごすことができたという経験は、何事にも代えがたいものであった。
これは実際に育業をしたことで判明したが、生まれてすぐよりも、動き出す半年以降の方が目を離せないし、育業で行うべきことは増える。育業を取得するタイミングは、産まれてすぐよりも3ヵ月以降の方が良いのではないかと妻とも話している。事故があったことで、結果的に生後半年以降の育業となってしまったが、かえってタイミングとしては良かったと思う。
また、積極的に育児に参加することで、妻との関係性も良好になった。育業の期間中に、妻も友人と会ったり、ネイルや鍼に行ったりすることで気分転換を図ることができ、リラックスすることができたようである。夫婦間の関係性も、夫が育業することで互いに感謝の念が生まれ、改善していくように思える。

時代も変わり、性別に関係なく育児に参加することは当たり前になりつつある。しかしながら、男性の育業取得、特に管理職の育業取得には理解が追い付いていない現状がある。
特に中小企業では、周囲に仕事のしわ寄せがいってしまい、育業を取りにくい現状がある。管理職の男性職員こそ、育業を積極的に取得して、世の中全体で育児に参加していくという姿勢を示すことで、他の男性職員も育業を取得することが可能になるのではないだろうか。

当然ながら、周囲の理解や業務の引継は必須になる。他方で、業務の引継を行うことで業務の棚卸が可能になり、復職後の業務効率化につながった。そして、仕事の属人性の解消も図ることができ、事業継続性にも資することになった。

簡潔ではあるが、以上が育業を取得した感想である。当院としても、今後も性別を問わず積極的に育業を推進していく。長期間の育業を経験した立場として、ワークライフバランスの両立を強力に進め、職場定着率の向上を図っていく。